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ヒトのカタチ、彫刻

津田亜紀子、藤原彩人、青木千絵

発行年: 2015.2
発行元: マイブックサービス
サイズ: 181×247mm
仕 様: 111頁
静岡市美術館で開催された、Shizubi Projectの第4回企画。私たち人間の姿形(フォルム)をモチーフに、様々な素材を用いて「彫刻」とは何かを問い続ける3名の作家、津田亜紀子(1969−)、藤原彩人(1975−)、青木千絵(1981−)を紹介。
津田亜紀子は、人体の原型を粘土で制作し、石膏で型取りを行い、最終的には透明な樹脂を使用して人の形を成り立たせます。そして軽やかな像を隠すかのように、その表面は花柄の布やレースで覆われています。表面にあふれる花柄や、残されたままの型取りの継ぎ目によって、人の形は曖昧で見えにくくなりますが、抜け殻のような像からは確かな人の気配を感じます。
藤原彩人の陶の彫刻は、一つの型から何体もの複製を作り出していますが、重力にそって垂れ下がった釉薬や、人物の表情はそれぞれ少しずつ異なっています。だらしなく手をぶら下げた空っぽな容器としての人体は、わずかに口を開いて呼吸をし、現実と空虚な世界を行き来しているかのようです。
そして青木千絵の作品は、大きな漆黒の塊から飛び出るリアルな下半身が目を惹きます。不安や恐怖といった負の感情が集積しているかのようですが、漆の持つ深い艶と相まった生命力のある造形からは、工芸的な美しさも感じられます。
長い彫刻の歴史のなかで、人体は普遍的なテーマとして繰り返し表現されてきました。「ヒトのカタチ」をつくること──「彫刻」をつくること──この古びてなお、根源的な問いかけに、樹脂、陶器、漆と、異なるアプローチで立ち向かう三者の表現を読み解きます。

執筆:
金井直「チョウコクあるいは弱い触角」
阿久津裕彦「人体と人体彫刻」
以倉新 「ヒトのカタチと「彫刻」津田亜紀子、藤原彩人、青木千絵 3人の彫刻家について」
伊藤鮎「カタチとソザイ──3作家の素材の選択について」