発売日: |
2022年7月19日 |
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発 行: |
美術出版社 |
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仕 様: |
A4変、172頁 |
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「東北画は可能か?」
2009年に三瀬夏之助と鴻崎正武によって立ち上げられた東北芸術工科大学での課外活動。様々な学科の学生が集まり、リサーチやディスカッションを繰り返しながら「東北」をテーマに作品を制作。まるで旅をするかのように日本各地で展覧会を開催し、音楽イベントやトークショー、ワークショップも企画。絵画制作だけにとらわれない、多様な表現が共存する集団へと成長した。
本書は、2022年発表の最新作をはじめ、現在に至る約10年分の共同制作、個人作品を掲載。また、プロジェクト自体も多面的に考察。「東北」を描き、残すこと、個々の葛藤など、今後の美術の可能性をも浮き彫りする、画期的作品集。
〈経歴〉
「東北画は可能か?」
2009年に東北芸術工科大学の教員である三瀬夏之介、鴻崎正武が始めたチュートリアルと呼ばれる課外活動。
在学生・卒業生とともにフィールドワーク、リサーチを繰り返し、「東北」をテーマに様々な視点から作品を描いてきた。
2012年、第15回岡本太郎現代芸術賞に入選。主な個展に「東北画は可能か?―地方之国構想博物館―」(東京都美術館、2015年)、「東北画は可能か?―千景万色―」(原爆の図丸木美術館、2022年)、東北画は可能か?―生々世々―(カイカイキキギャラリー、2022年)。主なグループ展に「平成美術:うたかたと瓦礫 1989-2019」(京都市京セラ美術館、2021年)など。
[もくじ・掲載内容]
「雪のアトリエから」三瀬夏之介
「TOUHOKUGAは何処?」鴻崎正武
「極東画は不可能か―「東北画は可能か?」の括弧はなぜ一重なのか」椹木野衣
1. Works
2017-2022
《生々世々》、《方舟計画 令和手》、《東北八重山景 令和手》、「日本画、九州派、東北画」村上隆、《遼遠歩荷》、「12号」
2011-2017
《ゆくべきところ》、《辿望楼》、《山海遊廻記》、《奥羽六泉郷~未知の奥へ~》、《the gleeman》、《しきおり絵詞》、《妖怪絵図(陰)(陽)》、《盛花の宴》、《東北山水》、《方舟計画》、「12号」
2009-2011
《東北八重山景》、《山形肘折道中》、「12号」
12号作品(152点)
「「東北」の芸術は可能か?」石倉敏明
*章解説・作品解説 小金沢智
2. Documents
「対談 東北画とは何か?」三瀬夏之介×鴻崎正武(2010年4月10日)
「対談 12年の時を経て、思うこと」三瀬夏之介×鴻崎正武(2022年3月19日)
「座談会 「東北画は可能か?」のこれまでとこれから」渡辺綾×石原葉×富永和輝
「再録 「東北」から/東北へ」三瀬夏之介
「再録 自分にとっての「東北の血」」鴻崎正武
三瀬夏之介
日本画家。1973年奈良県生まれ。京都市立芸術大学大学院卒業。2007〜08年に五島記念文化財団研修員としてフィレンツェに滞在。09年にVOCA賞、12年に第5回東山魁夷記念日経日本画大賞特別賞、タカシマヤ美術賞を受賞。09年より東北芸術工科大学芸術学部准教授、現在、同大学教授。日本画の伝統的技法・素材を用いながらアクリル絵具やコラージュ、立体作品など、新たな日本画のジャンルを切り拓く。主な個展に「三瀬夏之介個展 ぼくの神さま」(青森公立大学国際芸術センター青森、2013)など。主な著書に『冬の夏』(羽鳥書店、2010)、『三瀬夏之介作品集 日本の絵 』(青幻舎、2013)。
鴻崎正武
画家。1972年福島県生まれ。東京藝術大学大学院絵画科後期博士課程修了。2004年第13回青木繁記念大賞展大賞を受賞。09年より東北芸術工科大学芸術学部常勤講師、12年より准教授。現在、女子美術大学特任准教授。代表作「TOUGEN」シリーズは誇張された未来的イメージや、化学・テクノロジーによって内障化された異世界を表現。南蛮屏風から着想し、異形の動植物や宇宙船、楽器など、古今東西にまつわる人間の欲望や快楽の混在する桃源郷を描きだす。主な個展に「THETOUGENSIRIES DillonGallery」(ニューヨーク、2012)、「鴻崎正武ー未来の郷」(ARTFRONTGALLERY、2016)、「MUGEN」(ARTFRONTGALLERY、2020)など。