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Tagged: パープルームギャラリー

Exhibition Catalogue

星座と出会い系、もしくは絵画とグループ展について

Price:

880円(税込)

作 家: シエニーチュアン、金海生、ユササビ、小林正人
発行年: 2019.10
発行元: パープルームギャラリー
サイズ: B5
仕 様: 約20頁
2019年10月5日〜10月14日にパープルームギャラリーにて開催された「星座と出会い系、もしくは絵画とグループ展について」のカタログ。

シエニーチュアン
1994年愛知県生まれ。パープルーム予備校5期生。
シエニーチュアンは1920年代にシュルレアリスムの作家たちが試みたオートマティスムの手法を援用する。シエニーチュアンは自身を「キャラクター」と自認しているが、絵画作品には直接的にそのアイコンが登場することはない。シエニーチュアンの先行世代である奈良美智やタカノ綾は美術史の外のリソースも取り入れつつも登場人物と世界観を素直に描写している、という点では共通している。その一方でシエニーチュアンはもっとレンジの広い情報を扱おうとしている。目の荒い布地に木炭で描画された線はイメージの生成と崩壊を行き来する。また揮発性油で希釈された絵の具は布に染み込み意図しない「シミ」を形成し、そこに霧状に散布された絵の具が関与してくる。このように複数の絵画言語を素材へのシビアな眼差しによってひとつの作品の中に結合しようとしている。それは絵画という「もの」を作者に直接帰属させず「キャラクターグッズ」として成立させるための研究と言えるかもしれない。本展ではその最初のスタディーが披露される。

金海生
1994年中国山東省煙台市生まれ。東京都在住。
北京の大学で学んだのち、日本に留学。美術予備校を経て美大に通う。
学校をサボりながら絵を描いてきた。海生は自らの記憶や経験をもとにした私小説的な作品づくりに不快感を覚え、絶えず変化することを受け入れながら制作してきたと言う。作品には政治的なアイコンが頻繁に登場するがそれは政治的信条を直接的に表すのもではない。 本展に出展される《老船長》はグレーのシルエットと化した安部首相や頭部が朱色のプーチン大統領、秋田犬、謎のアニメ風のキャラなどが登場し、画面の下の方には引っ掻いて書いた「BAD NEWS」という言葉が確認できるが具体的に何かへの批判や風刺は読みとれない。またゼロ年代の美大生の絵画作品によく見られたようなぞんざいで伸び伸びとしたブラッシュストロークは金海生の絵画における痕跡としての「固有性」と典型的なスタイルであるという意味での「n次創作性」を同時に主張しているように思える。

ユササビ
1988年徳島県生まれ。
本展には出会い系サイトで出会った異性との出会いから別れを綴った作品《どうか傷ついてまいってしまわないように…》が出展される。本作はスマートフォンを思わせるプロポーションの小ぶりのペインティング、実際に相手と交わした言葉(実際の会話とSNS上でのやりとり)が記されたラベル、「LOVE」の文字をかたどったピンクの糸によって構成される。本作でユササビは現在の情報環境の中でメディアごとの速度や性質の違い、記録すること、記憶することへゆるやかに言及している。

小林正人
1957年東京都生まれ。
日本の画家、アーティスト。東京藝術大学美術学部教授。キャンバスを張りながら手で描く制作スタイルや、絵画作品を床に置き立てかけた独創性で知られる。(Wikipediaより) 小林の絵画はある特定の様式に還元しがたい絵画言語を有しているが、現代美術における絵画部門の中の独自性というよりも、たとえば「愛の系譜(仮)」(村山槐多→山田かまち→小林正人)のような関係性を見いだすことが可能なように、美術の領域外の想像力とも積極的に比較検討されるべきかもしれない。またコマーシャルギャラリーや美術館でこれまでつけられてきた価値や評価が一体どういう基準によって決められたのかについても考察したい。本展には鞆の浦のアトリエでつくられた小ぶりの星の新作が出展される。