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Critique

パンのパン04(中):複数的な複数性、あるいは個について

きりとりめでる

Price:

2,300円(税込)

発行年: 2022
発行元: きりとりめでる
サイズ: A5
2020年の「緊急事態宣言」を受けて書かれたインターネットの詩人sikakunの名作「命」から始まり、2019年の韓国アートシーンを「2」で論ずる紺野優希の批評へとズンズン続く。時を行きつ戻りつ。生活上の断絶感と連続性を多角的に問いかける寄稿が続く。

その後には、gnckと檜山真有による「オル太」の評が二つ並ぶ。gnck「荒川 土地の記憶と関わるためには」はアートフォームとしてのワークショップの冗長性に切り込む会心のテキストであり、檜山「アーティスト・コレクティブ・セオリー オル太の場合(ダイジェスト)」はアーティストコレクティブとは何かを近代美術からたった今までを辿る手に汗握るテキストだ。オル太からは2020年公演の『超衆芸術スタンドプレー 夜明けから夜明けまで』の台本を寄稿してもらっている。協働の結晶であり、協働の出発点。

後半は菅原伸也による「岡本太郎の『日本発見』」の第2弾から始まる。今までに岡本が何を為し、その美術家を語る上で何が託されたか、ナショナリズムと結びつく美術家を右傾化の時代の中で、静かに分析し続ける。菅原の真骨頂だ。そして紺野のもう一つの論考「展示を施工する:2015年以降[の韓国現代美術]を中心に」。インスタレーションという次元ではなく、施工という視点で韓国を2015年以降と区切る文章は必読だ。最後はshikakunの「命(2022)」。ウクライナ侵攻とcovid-19が絡まり合う2022年。インターネットはそれぞれの孤独を分かち合う場所ではなくなった世界でshikakunは何を書く。
巻末には言葉に意表をつかれ、絵に目を見張る山本悠のYoutube放談「悠のYou パート2 永遠じゃなくても大丈夫」。「永遠じゃなくても大丈夫」ってなに?きりとりめでるの「悪役令嬢転生 コミックガイド」は見開き1頁のおまけです。