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Critique

アルテ・ポーヴェラ   戦後イタリアにおける芸術・生・政治

池野 絢子

Price:

5,832円(税込)

発行年: 2016.3
発行元: 慶應義塾大学出版会
サイズ: A5判
仕 様: 384頁
戦後イタリアの芸術運動「アルテ・ポーヴェラ」とはいったい何だったのか?  その政治性、前衛性、今日的意義を問いなおす。

「貧しい芸術」を意味する「アルテ・ポーヴェラ(Arte povera)」は、1960年代末イタリアに興った芸術運動であり、一群の芸術家たちのゆるやかな結びつきを指す。 かれらは、新聞紙や布きれ、木材、鉄、石、果物など、日常的で粗末な素材を好んで用い、完成されたオブジェとしての作品以上に、しばしば作品のコンセプトや制作プロセスを重視した。 美術史において、コンセプチュアル・アートやランド・アートと並ぶ、ポスト・ミニマリズムの一潮流として認識されるアルテ・ポーヴェラは、近年、歴史的位置づけがおこなわれるなかで、20世紀の進歩と消費の神話に対抗する、理念的かつ革命的力を持った、清貧主義の運動だと再評価されることも多い。

本書では、ミケランジェロ・ピストレット、ジュリオ・パオリーニ、ヤニス・クネリス、ジュゼッペ・ペネーノ、アリギエロ・ボエッティ、ピーノ・パスカーリ、ジュゼッペ・ペネーノなどの作品をとりあげ、アルテ・ポーヴェラの歴史を辿りつつ、この芸術運動の意義を再検討することを試みる。個々の芸術家の作品を、地理的・政治的観点から捉えなおし、ゆるいつながりであった一連の活動の輪郭を浮かび上がらせる力作。

目次:

序 論
  第一章 否定の力 ―― 芸術、テクノロジー、マスメディア
 1 アルテ・ポーヴェラの誕生
 2 ジェルマーノ・チェラントの批評戦略
 3 マスメディアとイメージ
 4 「あべこべの反映」 ―― ミケランジェロ・ピストレット「鏡絵画」におけるスペクタクルの両義性

   第二章 トリノの地政学
 1 ブリコラージュ ―― 素材と行為
 2 居住空間と都市空間
 3 デポジト・ダルテ・プレゼンテ
 4 「同逸名」 ―― アリギエロ・ボエッティによる地図製作の方法

第三章 実践のパラダイム
 1 作用=行為
 2 言説のポリティクス
 3 ポイエーシスとプラクシス
 4 イメージの「作者たち」 ―― ジュリオ・パオリーニの初期作品をめぐって

第四章 前衛以後の古典主義 ―― 1970年代の転回
 1 アルテ・ポーヴェラ以後
 2 破壊される石膏像 ―― ヤニス・クネリスにおける「イコノクラスム」
 3 反復する石膏像 ―― ジュリオ・パオリーニと「シミュラークル」
 4 石膏像と古典主義 ―― ジョルジョ・デ・キリコと形而上絵画の系譜

第五章 更新されるアルテ・ポーヴェラ ―― 1980年以降の受容
 1 「ノット・アート」 ―― 歴史化と再解釈
 2 ミュージアムの論理
 3 再制作 / 再構築(不)可能性
 4 歴史的庭園と「開かれた修復」 ―― ジュゼッペ・ペノーネ《流形彫刻の庭園》

 結 論


TALK EVENT:
池野絢子著『アルテ・ポーヴェラ  戦後イタリアにおける芸術・生・政治』 出版刊行記念トークセッション
「アルテ・ポーヴェラ――戦後から現在に至る美術を考える」
2016 / 4 / 30